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教育者の育成

めざすは子ども一人ひとりにしっかりと寄りそえる
教育者の育成

2023.07.25 教育最新号

先進的教育スキルと地域との連携で育む現場力

次代の教育を見つめ、現場で輝ける教育・保育者像を長年にわたり追究し続けてきた本学に、2023年春、教育学部教育学科が誕生しました。ねらいは、少子化、教育ニーズの多様化など激しく変わっていく教育環境に対応し、子どもに寄り添い、子どもとともに成長する教育者・保育者を育てること。新しい学部ではどのような学びが展開されるのかを、学部長、学科長が紹介していきます。

「PBL、IEP、ICT」3つの伸ばすべき力

「PBL、IEP、ICT」3つの伸ばすべき力

松田誕生する教育学部の特徴を一言で言えば、現場での実務経験が豊かな実践系の教員と、アカデミックな知識を備えた理論系の教員が、良いバランスで構成されていることだと思います。両者に共通していることは、学ぶ側の立場を重視していること。学校や保育教育においては子ども目線を重視し、大学教育においては学生目線を大切にしています。

本学はつねに地域とともに歩み続ける大学であり、基本となるこの考え方は教育学部においても変わることはありません。一方、他大学の教育学部に比べると本学部は後発です。それゆえに他大学における現場の状況をしっかりと研究し、今何をすべきかを熟考し、学生の指導へと反映させていかねばなりません。以上を踏まえながら、教育学部では、次の3つを軸にした教育を進めていきます。
まず第1に、地域の中で教育課題を学生自身が発見し、課題の解決に取り組むPBL(課題解決)型の実践的な学びを重視します。学生は入学時から段階的にこれを体験していきます。
第2に、子ども一人ひとりのニーズや特性を把握してIEP(個別教育計画)を作成し、それに基づいた教育を実践できる教育者、保育者を育成します。IEPに基づく教育の推進は、欧米で先行してきた先進的な教育理論に基づくもので、子ども一人ひとりに寄り添った指導の実現をめざすものです。同時に、私たち教育学部の教員も、学生一人ひとりの個性をどう伸ばし、どう成長させていくかを深く考え、学生と常に対話しながら教育を進めていきます。
第3に、今や教育現場になくてはならないICT活用スキルの向上を加速させます。この本学はつねに地域とともに歩み続ける大学であり、基本となるこの考え方は教育学点に関しても、学生にスキルの習得を徹底することはもちろんですが、私たち教員も今まで本学において蓄積してきた教育に関するデータ・知識を学生の指導に生かし、柔軟で多様性のある教育を進めていきたいと考えます。

松田本学部は幼稚園教諭、小学校教諭、特別支援学校教諭、保育士をめざす人々がともに学ぶ場となります。めざすのは、幼児教育のその先、学校教育のその前を分断なく考えることができる、想像力豊かな先生の育成です。私たちは幼児教育・学校教育が連携しあってこどもの発達をサポートすべきであるという「成長リレー教育」の理論を軸に、PBL、IEP、ICTの能力向上に力を注ぎながら、新しい教育学部の学びを展開していきます。

PBL:Project-Based Learning(課題解決型学習)。理論と実践を繰り返しながら地域社会の中で成長をめざす。
IEP:Individualized Education Plan(個別教育計画)。子どもの志向や発達に合わせ、実践を学ぶ。
ICT:Information and Communication Technology。テクノロジーの活用で学習計画の最適化や校務を効率化するスキルを身につける。

地域の課題に学生が一緒に取り組む

地域の課題に学生が一緒に取り組む

地域の方々からは、子育て支援への期待が大きいと感じますね。これまでも、こども福祉学科において「こども大学」という取り組みを行い、地域の親子さんを招き、さまざまな交流をしてきました。このような触れ合いはますます拡大していくと思います。
また教育学部では、今春開設されたばかりの東加古川駅前サテライトキャンパス(HUES)も利用して授業が行われています。全面ガラス張りという未来的な空間で、新しいことが始まるという期待感をもって学ぶためのいい刺激になっているのかなと思います。HUESはエクステンション・カレッジの講座が実施される場でもあるので、今までにない地域とのつながり方が考えられるのでは。積極的に活用していきたいですね。

松田1年生の実習は、小学校や幼稚園などで秋からスタートします。学生たちはそこでさまざまな課題に出会うでしょう。その課題を大学に持ち帰り、しっかりと深め、課題解決に向けて理論からアプローチを行う。そして次に実習に行った時には、前の実習で出会った課題に対して、大学でまとめた解決策が現場でうまく機能するのかを確かめます。そういった活動を卒業まで続け、学生は実践的な課題解決力を身につけていきます。 一方、小学校や中学校の現場からは、今後、少子化がますます進むと考えられている状況下で、新たに起こってくるさまざまな問題にどう対応していくか、ノウハウが欲しいという声も聞かれます。私たちは教育学部のPBL活動が、学生が教育の現場の方々と一緒に課題解決の糸口を考えるよい機会になればと願っています。

学生を見守り、主体性を引き出す

学生を見守り、主体性を引き出す

松田本学のこども福祉学科の学生は、医療保育に興味を持つ方が以前から多かったのですが、さらに教育学部では特別支援学校教諭の免許も取得できるという点に関心が集まっているようです。福祉や教育に興味がある人は、優しさを持った人が多いと感じます。この人たちの優しさ、心の細やかさを丁寧にサポートしてあげなくてはいけません。

学生の話を聞いてあげることが大切です。私はどんな時も、時間が許す限り立ち止まって聞いてあげるよう心がけています。本学部の先生は、学生の味方になりたいと思っている方ばかりです。

松田制度上でも学生の学習をサポートするために、チューター制を導入し、教員ひとりが3から4人の学生の指導にあたっています。チューターは学生と面談を繰り返し、「将来どんな道に進みたいか」、「今、何をすべきか」などじっくり話し合います。目的意識が高い学生が多いので、今後どう成長していくのかがとても楽しみです。

教育学部は、新入生も教員もいわば一年生。一緒にこの学部を作っていこうという、ともに成長していこうという気概、伝統を作るのは自分たち自身だという気概にあふれています。

松田新入生からは「新しいサークルを立ち上げたい」「小学校教育についてもっと学べる講座を開いてほしい」などの声をすでに聞いており、これからも、さまざまな意見が出てくるのではと楽しみです。我々教員が先回りして準備しすぎてはいけないので、彼らがみずから動き出すのを期待しています。

学生へのメッセージ

卒業後は、子ども一人ひとりに対応できる先生になってほしい。「兵庫大学出身の先生は子どものためによく動いてくれる」という地域の方々の声が聞けたらうれしいですね。

松田自分の希望する資格や免許の取得はとても重要ですが、学生時代にはいろいろ経験してほしいですね。一つを深くというのもいいですね。心に残る体験をしてほしい。

  • 教育
  • 新学部
  • 講師紹介
關 浩和 教授

關 浩和 教授

教育学部 学部長
専門:社会認識教育学(社会科・生活科)、教育課程論

松田 信樹 教授

松田 信樹 教授

教育学部 学科長
専門:発達心理学

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